石のひとりごと

停年退職してもう12年,頭が白くなりました.

「清張地獄八景」みうらじゅん編、文春文庫

本屋の新刊コーナーで見かけてパラパラ見て即買い。松本清張本は結構読んでいるつもりだったが、知らない側面がたくさん書かれており面白かった。494頁。

 

・清張の講演「小説家は人に好かれるべからずー菊池寛を読みたまえ」や、井上ひさしへの手紙、江戸川乱歩への弔辞。清張の姿勢が良く分かる。

 

・直子夫人による2本の記事や写真が26頁あり、家族を大切にした清張の姿が良く分かる。

 

・一緒に仕事をした人々の記事も面白いものが多い。朝日新聞広告部時代の岡本健資さん、清張映画の脚本を書いた橋本忍さん(98才時のもの)、岩下志麻さんなど。

 

・座談会も5つ収録されていて、それぞれ面白い。佐野洋山村正夫では、米国のガードナーが来た時、清張は対で英語で推理小説論をやった、との事。京極夏彦宮部みゆき大沢在昌は流れが良い。

 

・清張の達磨の絵や、ヨーロッパ旅行のスケッチ、写真など貴重なものが収録されている。佐藤愛子のスマートな写真(直木賞受賞時)もびっくり、

 

・みうらさんの作品解説、特に、家族ができて仕事も順調だと清張地獄スイッチを押してしまい転落する姿を描いている、との事。清張映画ベストテンもある。

 

ちょっと残念だったのは、「西海道談綺」、「かげろう絵図」が全然でてこなかった点。

 

清張が亡くなってもう28年になるが、年寄りになった当方にとって存在感が半端ない。