石のひとりごと

停年退職してもう12年,頭が白くなりました.

「国立大学は競争にさらされているか?」

表題のコラム記事が、岩波科学2007Decに掲載されていて、面白かった。競争原理が働いて新規参入や倒産があると収入の分布は勾配-1のべき分布に近づく(Paret分布)が、新規参入や倒産がない状態では対数正規分布に近づくという理論があるとのこと。国立大学法人の運営交付金の累積分布の図は対数正規分布を示しており、競争原理が働いていない。さらに、旧制帝大系の大学だけが交付金が数10%多いことが示されている。昔、会議の資料をいじっていて、文部省(当時)は旧制帝大と新制大学を明確に区別していることを知った(学生数に対する教員数、予算、面積等が倍半分違う)ので、未だそれが続いているのだ。一方、科研費の大学毎の累積分布はべき分布を示すが、勾配が0.81で、これは寡占状態を示すそうだ。実感に良く合う。運営交付金が削減されると,外部資金の割合が多くなるので,大学間格差,研究者間格差は開くばかりだ.