石のひとりごと

停年退職してもう12年,頭が白くなりました.

2008-01-01から1年間の記事一覧

既得権益

ちょっと古くなったが、中央公論の本年2月号で「崖っぷち、日本の大学」という特集に6本の記事が出されていて面白い。特に關昭太郎の「大学経営」に関する意見は耳が痛い。山種証券社長から、早稲田大学財務担当理事・副総長に転身して10年の経験を語ってい…

教員、学生のなれの果て

「先生、生徒のなれの果て」というのがあったと思うが、だいたい学生時代、指導教員にやられたように学生と付き合っていることに気付くことが多い。当方の場合、教員(当時は教官)は自分の仕事は自分でやって単独で発表するのが普通で、学生への指導はゼミ…

氷山の一角

先日のWeb of Knowledgeのデータを用いて,横軸にcitationの多い人から順に並べ,縦軸に累積論文数と累積被引用度(全体を1に規格化)としてプロットするとこのような曲線になる.上位10%の人達で全体の論文数の32%,被引用数の46%を稼いでいるので,かなり…

Web of Knowledge-new

10月に年度範囲が拡がって1986年以降の論文についての検索が可能となったものについてのtotal citation-paper数の関係。

腐敗

腐敗というと鬼塚ちひろの月光の歌詞は強烈だったけれど、食物や生物の腐敗、社会・大学等の腐敗など、細菌が増殖し易い条件が揃うと進行する。細菌の存在、温度が適当、栄養があれば良い。人間も同じ環境に慣れ、給料等で一応満足し、自己変革をしなくなる…

耳学問

学生・院生の頃は海外の先生方がしょっちゅう訪ねて来る処に居て、耳学問に困らなかったが、それ以降はだんだん専門に近い人が居ない処に移って行き考えたら情報の大半は自分でアクセスして得るのが当たり前になっている。学問が細分化しているから専門とい…

爆笑問題×早稲田大学

今日の「日本の教養」のタイトルは「突破力」だったが、やたらと太田の独演会の印象が強かった。それこそ正面突破。京大の時は教授陣の印象が強かったが、今回は皆それほど緊張なく話していたように思う。教授陣では宮沢章夫が考えながら話すのが印象的。

車プレートの数遊び

通勤で電車を使えばその間、文字を読むことができるが、車で通勤したりするとその間、音を聞くか考え事するかしかない。以前思いついてやっている数遊び。日本の車のプレートナンバーは4個の数字から成っているので、4個の0-9の数字について四則演算で1か…

渦の巻き方

風呂の栓を抜いた時の渦は北半球でも右巻・左巻両方があるというのはIさんが云っておられたので注意してみると確かに他の要因で決まっているようで家のものは右巻が多い。でも台風や低気圧は北半球では左巻で例外はなさそうだ。赤道上で台風ができたらどっち…

サロン派vs実務派vs学研派vs飛翔派vs一発屋vs・・・

大学院の授業でオムニバスに1回話すのに、専門の話ばかりしても仕方ないと思い、全般的な話を半分くらいする。だいたい同じゼミで数年過ごすと、そこの先生方、同僚の行動を見ていてその価値観やものの考え方が判るように思う話をした。で大学のStaffは種々…

Paper数の増加

Web of Knowledgeで簡単に色々な統計を見ることができる.図は「年度」と「Japan」を入れて集めたデータで,その結果の中から分野としてGeoscience multidisciplinaryとGeochemistyr and Geophysicsの2つに分類された論文数の年度別変化を示している.同時…

「研究室を選ぶチェックポイント」

たまたま見かけた「理系の女の生き方ガイド」(ブルーバックス:宇野・坂東著)がちょっと気になって覗いてみた。いろんなハンデイキャップがある中で生き延びるために前向きに戦うことが必要とされることが理解できると同時に、女性だけでなく一般的に参考…

研究の効率

教員ポストの人事があると,論文数や引用度がまず数値として出てくる.もちろん掲載誌のレベルや第一著者の有無や学生指導成果,外部資金獲得なども重要であるが.論文数は一般には理系の教授だと最低30編が目安だと聞いたことがある.もちろん少なくても重…

大学法人のH19年度業務実績評価

今朝の新聞に国立大法人のH19年度業務実績評価の記事が出ていた。詳細はわからないが、業務運営の改善・効率化、財務内容等4項目を5段階評価したとのこと。91法人のうち9割が3番目の「おおむね順調に進んでいる」評価以上で、北大、岡山大、豊橋科技大、熊大…

論文の寿命:分野別

これは分野別の論文の引用の減衰を1988年に日本から出された論文について示したもの。数学は寿命が長く、物理、生化学は短い。地球科学はややゆっくりで、特に大気科学は長寿命。各図には対象となった論文数がカッコで示してあるが,長寿命の数学・大気科学…

論文の寿命:Journal別

Web of Knowledgeが'1986以降'に伸びたので、少し遊んでみた。図はあるJournalに1988年に掲載された論文全体の引用数の年度変化を示したもので、Natureのように1-2年でピークに達した後急速に減衰するタイプのJournal(ApJ、GRLなども)から、3-5年でピー…

「高眼手低」

今年度のNobel物理学賞受賞の益川敏英さんがインタビューで若い人に伝えたい言葉として「高眼手低(眼高手低?)」と言っていた。普通は悪い意味だが、この場合は'狙いは高く着実なところから手をつけていく'という意味だそうで、実際研究を続けるにはこの指…

Web of Knowledgeの改訂

Web of Knowledgeが今日から内容が、1986年以降の発表文献を扱うようになったようだ。10年遡ったわけで、扱う情報が広がることは望ましいように思う。今迄、1996年以降の文献に限っていたのは特に意味はなくて、会社側の都合であったようだ。

思い出してホッとする

今年の4月末の連休に、半分仕事の下見で上さんと兵庫県のあさご付近を車で廻ったのだが、たまたま道沿いに看板を出をみつけ、あさご芸術の森美術館(http://www.city.asago.hyogo.jp/asagomuseum/)に寄ってみた。川奥のダムの下流側の広い敷地に美術館、彫…

研究室(居室)の新陳代謝

大学教員の有り難いところは研究室と称する居室が持てることだろう。若いうちは荷物が少なくて良いが、年をとってくると捨てない限り荷物が増えてきて、身動きがとり難く、探し物が増えて効率が良くない。まあ、年配の教員でも片付いている人は何時でも片付…

『新薬スタチンの発見』

遠藤章氏がラスカー賞を受賞した記事がきっかけで、Wikipediaに出ていた、ウオールストリートジャーナルのLandersの記事、一方の当事者のBrown & Goldsteinの専門誌Atherosclerosisの記事、遠藤氏の表題の解説本(岩波科学ライブラリー)を読んだ。コレステ…

事故米

「天網恢恢疎にして洩らさず」とは云うが、今回の三笠フーズ等の事故米の件を見ていて、結局はこのような大騒ぎになることなのに、多くの人達が関りながら全国に拡がってしまった事態は残念だ。何処まで知っていて不正を行い、見ぬふりをしたのかまだよく分…

永瀬清子

30年近く昔の切り抜き帳の中から。永瀬清子(1906-1995)というのは岡山県赤磐郡出身の詩人。Webでいくつかの詩を読むといづれもサラッとしていながら、現実の自分と周囲とを鋭く批評している。この「ありがとうよ、にいさん」を読むと、30年経っても世の中…

SCOPUS

久しぶりにSCOPUS(Elsevierの論文検索サイト)を使ってみたら、古い論文はもちろん出てくるが、引用文献が1996年以降になっていた。以前使った時はそのように限っていなかったように思うが、Web of Knowledgeと足並みを揃えて過去12年にしたのは、以前にも書…

教育学部の先生

教育学部の先生方には2種類あるように思う*。一つは真の教育者というべき方々で、周囲の状況・人々に細かく心配りをして全体的な視野を持って判断して事を進められる。必要な場合には自ら先頭に立って全体をひっぱることができる。A大学に居た時に組合委員長…

基礎と応用

Earth Sci.のような応用科学をやっていると、つい眼先の対象物の面白さにかまけてしまうが、一般的には学問を大きく進歩させるには、より深い基礎力が必要だ。噂に聞いたのでは、TITのNakazawa先生は学部・修士では基礎学力の習得に大半の時間を使うよう指導…

第一著者

生化学などでは、著者順はあまり重要ではなく、最終著者(アンカー)が重要だったりする。ノーベル賞などでも、実際に働いた第一著者以外が受賞したりして、その場合はアイデアや全体構想を作った点が重要と評価されるのだろう。最近のように科学が多様化す…

隕石衝突

2029年に直径300mの隕石が地球の近くを横切って、衝突する確率もあるという話を聞いて、「隕石衝突」で検索したら、Youtubeに隕石衝突のシミュレーション(多分空想)映像があった。 http://jp.youtube.com/watch?v=hu-iYG-mgpo かなり迫真の映像で、直径数1…

dead wood

Dead woodという言葉は1986年に「アメリカでも一流校は狭き門―サイエンティストのみたアメリカの大学」(A.T.Tu著)で初めて見た。大学で歳とって研究しなくなった教員のことを言うそうで、きついなと思ったが、自分がその年にさしかかってみると、いろいろ…

足し算引き算

地球惑星科学を考えるとき、近年はモデル屋の占める割合が多くなり、また若い人も計算機実験を志向する人が多いので、3Kの代表である地球化学はどうも疎んじられる場合がなくはない。心ある物理屋さんはしかしその重要性を認識しており分野にとって欠かせな…