石のひとりごと

停年退職してもう12年,頭が白くなりました.

お遍路本

いつの間にか三ヶ月も書かないでいた。

図書館でなんとなく借りてお遍路本を二冊読んだ。一冊は辰野和男『四国遍路』岩波新書、もう一冊は佐藤光代「私のお遍路日記』西日本出版社。二冊とも素直な気持ちが良く描かれていて楽しめた。毎晩寝る前に少しづつ。

読んだばかりの後者から、感想。30過ぎの映像デイレクタが「自分の着地点はもっと違う所にあるはずだ」という思いと、厄年の厄落としもあって、44日、千数百kmの歩き遍路に挑んだ。最初のうちは足が腫れたり荷物が多過ぎたりしていたが、いつの間にか毎日20-30kmをこなして88ヶ所を結願出来たのだから立派。途中のお接待や行き交う人達との交流が細かく描かれ、また、道や宿の情報も細かくイラスト付きで説明がある。88番の後、1番の霊山寺に御礼参りするのは本来不要であるそうな。津照寺近くで会った金剛さんの話を聞いていて涙が止まらなくなった話や、道中で困った時に助けてもらった37番岩本寺に最後にお礼参りに訪れるなど、印象的な話が書かれていた。それにしても、この本の出版は行く前に決めて、毎日日記をつけていたのだろうが、その点については何も書かれていなかった。

辰野さんは昔、朝日新聞天声人語を担当していただけあって、バランスよく4回の区切り遍路が記述されていた。やはり、お接待は最初のうちは戸惑うようだが、ありのままに受け入れる気持ちが素直できもちよい。四国ならではの文化なのかと思う。

自分でも通し遍路は興味なくはないが、なかなか自分で腰をあげるにはならないような気がしている。ただ、調査で慣れた土地が含まれ空海への興味もあってつい読んだ次第。