石のひとりごと

停年退職してもう12年,頭が白くなりました.

堀文子『ホルトの木の下で』幻戯書房

先週,たまたま借りた,岩崎猛『いわさきちひろ』を読んで*いて,同い年で戦後同じ頃に絵本画家として駆け出しだった堀文子という人がいることを知った.Webでその絵を見ると,印象的なものだったので,図書館の著作リストからなんとなく表題の本を選んで予約をし,今日借りてきた.そう期待していなかったのだが,少し読み始めると面白くて3時間位で読み終えた.恵まれた家庭に生まれたものの,3男3女の4番目の3女ということで,なかなか反骨精神に富んだ人だったようで,自分で考え自ら進んで未知の世界を覗いて人生を切り開いていくところはちひろと似た感じもある.途中で出てきた,柴田安子という友達のことが書かれていて,Webでその絵を見ると,強烈な印象.殆どの絵は柴田が癌で倒れて亡くなる前に自分で焼いてしまったそうで惜しいが,いろんな才能があるものだ.堀は70を過ぎてイタリヤに家を買ってその地で新たな試みをするなど,タフで好奇心に満ちた人.今年7月2日で萬100歳になられる.ちひろは55で亡くなったが,堀さんは控えめながらこれはこれで凄いものだ.最後に表題のホルトの木の解説があり,いかにも堀さんの生き方を象徴している.


** 2019年2月5日に亡くなられた[100歳).黙祷.