石のひとりごと

停年退職してもう12年,頭が白くなりました.

二宮敦人著『最後の秘境 東京藝大』 新潮社

昨年9月に発売された本.多分新聞の書評で見て図書館の予約をしたのだが,3ヶ月位でようやく昨日借りれた.

確かに副題「天才たちのカオスな日常」にあるように,東京藝大はちょっと特殊ではある.奥さんがそこの美校の学生をしていることもあって著者が興味を持ち,各学科の学生さんにインタヴューをしてこの本を書いている.

まず,美校と音校がかなり違うこと,云われてみれば納得だが,確かにかなり違う.でも読んでいくと意外と,それぞれに幅があって,共通する部分,あるいは交流もあったりするようだ.

面白く書かれているのでどんどん読んで,あまり頭jに残っていないのだが,印象的だったのは,やはりそれぞれの分野で課題に取り組む中で自分を客観視して理解を深めていく過程が描かれている.それぞれ工芸にしろ音楽にしろ技術的な部分が大変であり,その点で才能の有無は歴然とするようだが,一方で,各学生の自分への問いを深める部分の重要性は生き残るかは別として普遍的な若者の姿のような気がする.

12章には「60代の同級生」とあり結構年配の学生さんも入ってきているようだ.O大を定年前に退職して藝大に入られたMさんが特別と云うわけではないようだ.

工芸や音楽と研究は少し違うが,共通するものもあるような気がした(当たり前か).