石のひとりごと

停年退職してもう12年,頭が白くなりました.

基礎と応用

Earth Sci.のような応用科学をやっていると、つい眼先の対象物の面白さにかまけてしまうが、一般的には学問を大きく進歩させるには、より深い基礎力が必要だ。噂に聞いたのでは、TITのNakazawa先生は学部・修士では基礎学力の習得に大半の時間を使うよう指導され、具体的な問題はその力がついた後とのことだ。それは重要なことで、数年前、N先生ご自身の専門とは遠い?マグマの発泡過程についての論文を発表されている。対象がなんであれ、基礎的な物理プロセスを把握すれば問題解決が可能である。一方、自然現象は多様なパラメータが働き、その相対評価さえ容易でない場合がしばしばある。そのような場合は自然を直接観測している人間の方が本質的なパラメータを直感的に見出すことはありそうに思える。理論的な基礎が十分なだけでは、必ずしも新たなブレークスルーに繋がらない。旧帝大のような同じ分野でのスタッフ数が多いところであれば、基礎から積み上げるやり方で若手が育ち体系を進歩させることができるだろうが、新制大ではG氏がよく云われるように、ゲリラ的に個々のスタッフがそれぞれのモチベーションで努力し、学生を引っ張る(ことができれば)方が有効に思われる。