石のひとりごと

停年退職してもう12年,頭が白くなりました.

実験のセンス,科学のセンス

自分は学生の時に同じ実験を10名余りのクラスでやるとたいてい一番下手で,最期まで時間がかかってうまくいかないことが多かった.40年近くこの自覚をもってそれなりにやってきたが,教員になって学生と付き合うようになると,世の中にはもっと実験センスのない人間も居ることに気づく.大抵の学生は,こちらが難しいと思っている実験を容易にこなして見下げられるのだが,全体の1割程度は,やっている実験の意味を考えているとは思えないことをやる.そのような学生が研究室に来ると殆ど放任している教員は,途中で実験につきあってみたり,卒論や修論を読んでびっくりする.そのような子は物事の因果関係を知ることにあまり興味がないようだ.大学入試まではかなり記憶力でこなせる(記憶力コンテストなぞやっているニュースが流れていたが)のでそのような脳ばかり発達させると,記憶に頼ってしまい物事を理解するという脳は育たないように思える.部分部分を良く観察・理解して,全体の中である部分がどのように関連しているかという論理的イメージを得ることが重要だと思うのだが.