石のひとりごと

停年退職してもう12年,頭が白くなりました.

場によらず

図書館でたまたま目に付いた、足立壽美「原爆の父オッペンハイマー、水爆の父テラー」を寝る前に少しずつでようやく読み終えた。科学が社会・政治に大きな影響を与える過程で重要な役割を果たした2人についてフェアな視点で、あるれる思いも伝えながら抑制して描いている。オッペンハイマーもテラーも優秀であったが、科学者として自分に忠実に生きて結果として悲劇の科学者と呼ばれるに至った道筋が描かれている。

著者は広島で戦後を過し、御茶ノ水大ーコーネル大で病理心理学で研究員まではしたが、特に所属する場を持つわけではない。夫が物理学者であったにしても、このようなエネルギーの詰まった作品を生み、多様な活動を行っていることに強い印象を受けた。