石のひとりごと

停年退職してもう12年,頭が白くなりました.

「リンゴが教えてくれたこと」木村秋則

ブックオフの100円コーナーで,木村秋則「リンゴが教えてくれたこと」日経プレミアシリーズがあったので入手して少し読んでみた.リンゴの自然農法を10数年かけて開発し伝道されている話.

岩木の農家の次男坊に生まれ,化学や機械・電気に興味をもってのめり込み比較的自由に育ったのが後のリンゴの自然農法にこだわった素地になっているようだ.一旦東京で就職したが戻り,近所の同級生のところへ婿入りして農業を本格的に始めている.リンゴ栽培は農薬を撒けば育って比較的安定的に収入が得られるが,農薬散布で皮膚がただれ体が痛めつけられる.

米国製トラクターを購入してトウモロコシ栽培も試みるが結局リンゴ一本で行く事にして有機農法を試み始める.農薬の使用量を減らしていき最初は農薬による被害が軽減でき収量も落ちず順調だったが,無農薬にしたとたんに葉が落ち収穫ができなくなる.何年もそのような状態が続き,病害虫が発生して近所からも苦情を云われるようになる.冬には出稼ぎで収入を確保するものの貧乏暮らし.

そのような状態でも畑にいろいろ工夫をして見て回って害虫の状態等を観察しているのが普通の人とは違う所.借金でどうにもならなくなり,首をくくろうと岩木山の沢を登って行ったところに,人の手が入っていない処で自然に生きているリンゴの木に気付いて近づいてみてふかふかの匂いのする土に気付く.この土を作れば自然農法が可能になると,いろいろ工夫して少しずつリンゴが収穫できるようになっていく.糸川英夫博士から「君もゼロからのスタートだ」とはげましの電話を受けたというのはちょっとビックリ.大豆を使って土を作る話.あとは比較的順調に自然農法が世に受け入れられるようになったようだ.

途中で,この人のリンゴをネット調べてみたら,5kgで5000-6000円.1個300-400円位でいささか高価.庶民にはちょっと辛い処.昔リンゴを食べて,農薬多いな,という時期があったが,最近はそう感じることは殆どないので安いものも減農薬で作られているのだろうか(1個100-150円のもの)
一徹ものを信じて支えた奥さん,家族への感謝が記されている.