石のひとりごと

停年退職してもう12年,頭が白くなりました.

「死すべき定め」ガワンデ

8月中旬にhandainakanoさんがHONZにこの本の書評*を書いたとツイートされているのを見て,図書館で予約して借りて読んだ.少しずつ読んでいたら,昨日が返却の締切ということで慌てて残りの半分を読んで返却.読みだすと引き込まれる内容で,訳もこなれている.

多くの人が是非読むべき本,という評価を書いておられるように,末期の状態で患者に何が必要なのか,従来行われている(米国の話ではあるが,日本でも大同小異の状況なのだろうと思う)施設での対応や病院での医療では生かし続ける方策はあっても,人生の最後までその人らしく生きるために必要なこと,の視点が殆どなかったことが書かれている.

最後の付近では,ガワンデの父親の話が書かれている.外科医であった父親が珍しい脊椎腫瘍で倒れながらも自分の行き方を貫いて亡くなって行く話は特に印象深い.

身近なところで,当方のカミさんの場合,膵臓腫瘍で,最後はホスピスだったのだが,本人は最後迄意識を持っていたいという話をしていたが,最後の二日くらいは眠ったままだった.それが良かったのかどうか,痛みが出るのを薬剤で抑えて眠っていたように思ったのだが,場合によっては痛みは我慢できるのだからそのような選択もあったように思った.自分の場合は眠らされる位なら痛みを我慢したい.

元のタイトルは"Being Mortal"で,「死すべき定め」でも良いのだがちょっとネガテイブな印象で,もう少しポジティブなタイトルの方が良いように思った.