石のひとりごと

停年退職してもう12年,頭が白くなりました.

「生物と無生物のあいだ」

福岡伸一さんの「生物と無生物のあいだ講談社現代新書は本屋で喧伝されていたけれど、ちょっと手に取らずにいたのだが、図書館にあってパラパラめくって個人的な経験に基づいていて面白そうだったので読んだ。生物を規定するのはDNAによる遺伝というのが普通の考え方だが、この本では、動的平衡を保っている組織としての生物を取り上げている。また、生物学の主役であった、ワトソン・クリック・ペルツ等に対して、Unsang heroとしてロザリンド・フランクリンや、DNAが遺伝情報を担っていることを初めて明らかにしたエイブリーのことがとりあげられていた。また生物が動的平衡にあることを指摘したシェーンハイマーのことも中心的に取り上げられている。著者自身の北米東岸での経験を元に書かれ、最後まで一気に読ませられた。素人考えだけれど、動的平衡というのはBakの自己組織化臨界状態と似ている。後者は自然界で無生物でも雲の形や地形等々多くの現象で認められるので、それだけでは生物の規定にはならないと思ったのだが。。。