石のひとりごと

停年退職してもう12年,頭が白くなりました.

「考古学からみた鴨東の歴史」など

昨日は,京都市考古資料館と京都大学総合博物館共催の表題の催し(2月14日~6月24日)を見に出掛けた.

朝9時頃家を出て京都へ行く阪急電車内で検索すると,阪急烏丸の近くに京都文化博物館でオットー・ネーベル展というのをやっていたり,そこから京大へ行く途中に京都市歴史資料館というのがあるのを見つけたので,時間もありそうだったので歩いてそれらを見る事にした.

最初の,京都文化博物館は南側の旧館はそれ自体が歴史建築物.展覧会は北側の新館で行われていた.広告の色合いが面白そうだったから見る気になったもので,カラーアトラス(色彩地図帳)は面白い. http://www.bunpaku.or.jp/exhi_special/now/

文化博物館から歴史資料館へ行く途中の寺町通にArt Space-MEISEIというので,嵯峨美術大学芸術学部造形学科油画研究室展「思考する視線2018」というのをやっていたので覗いてみた.彌永さんと云う方の作品はハガキ大のモニターで製作過程を順に示すもので,小さい時からそういう環境で育った人が作品を作るようになっている.

歴史資料館はこじんまりした建物.特別展は小規模だけれど左京区北部の久多の歴史.京都市が南北にこんなに広いとは知らなかった(南北40㎞近い).奥にビデオで京都の様々な歴史を示す装置が置いてあり,最初の「京都のなりたち」を見た.平安京,秀吉の区画作り,江戸時代の商業の拡大による外側への発展,江戸遷都,と区切られることを知った.

京大総合博物館を見るのは2回目.特別展の鴨東(おうとう)は他所の者には判らなかったのだが,鴨川の東側の平地の部分のこと.その部分は京都で最も古い遺跡が出てくる処とのことで,京大では飛鳥~室町時代の展示,考古博物館では旧石器~古墳時代の展示. http://www.museum.kyoto-u.ac.jp/modules/special/content0067.html  http://www.kyoto-arc.or.jp/blog/jp-mus-exhibition/2693.html?cat=11

考古資料館では,TMさんから展示物についての色々な面白い話を聞く.この地域には厚さ2m以上の土石流堆積物がある,と書かれていたので,斜面崩壊が起きた場所について聞いたら,むしろ過去の斜面崩壊でできた扇状地堆積物が大雨で流されて拡がって溜まったのだろう,とのこと.確かに礫の円磨度は高い.

須恵器と土師器が置かれていて,焼成時の酸化の有無によるものとのこと.須恵器の途中で拡がった部分にあいた径3㎝程度の孔,一般には宗教上の理由で開けられたと説明されるとか.でも実用的な意味がある可能性もあるらしい.高さ1m位ある須恵器が自重でつぶれそうなものだがどうやって作成したものか,結構不思議らしい.17時が閉館時間で,TMさんとちょうどその頃のバスで四条烏丸へ.急行だと早い.

2時間ばかり,ビールで昔話.1970年代に,日本でもコマチアイトやキンバライトがあるのだ,という論文が出ているらしい.もちろん,現在では別の成因のものと皆了解している.


翌日,大阪のMNさんと難波でのソナエ博の講演等を聞きに行く約束だったので,新大阪付近のビジネスホテルに泊まったのだが,翌朝起きてテレビを見ていたら,突然凄い揺れ.ただ,揺れの時間は10秒程度で収まったのでそう怖くはなかった.震度5以上を初めて経験.でも周囲がそれ程ひどいことになっているとは思わずに,8時過ぎに出て,御堂筋線沿いに歩いて南へ約7㎞.淀川を渡る歩道は狭いがサラリーマンが多数歩いていて印象的.結局,会場に行ってみたら,催しは中止.電気が止まり,交通が止まっているのだから当然ではあった.それでも,まだ行った事がないあべのハルカスでも見るか,と思っていたのだから,随分能天気であった.災害対応能力は極めて低い.