石のひとりごと

停年退職してもう12年,頭が白くなりました.

大村智『ストックホルムへの廻り道』日経新聞出版社

2015年度のノーベル化学賞を受賞された大村智さんの’私の履歴書’だが,一味違うお人だ.

普通のノーベル賞受賞者は学研一筋で大学・研究所の中で閉じた方が多いと思うが,大村さんは研究はもちろんであるが,北里財団の理事で経営を勉強してその改革を主にやられたこともあり,趣味の美術のつながりから女子美大の理事長も結構長くやられて改革し,韮崎の大村美術館の設立・運営,ゴルフはハンデイ5まで,等々,活動の範囲が全然広い.時間の効率的な使い方を若い時の苦労から身に着けておられたのだろうが,普通の人の10倍以上,という感想だった.

基本,自分の研究費や活動費は共同研究の米国の企業や他の企業等からの寄付金で数10億を確保している点で普通の研究者とは全然違う.もちろんそうなるまでは周囲の先生方の助けがあったことが記されているが,何か違うものをお持ちだったのだろう.偶々ではあるが,女子美大の関係で,堀文子先生ともおつきあいがあったりしたことも記されている.