石のひとりごと

停年退職してもう12年,頭が白くなりました.

ピーターの法則

昨日の朝日新聞勝間和代さんが取り上げていたピーターの法則というのは,成程と思ってしまった.

ウイキペデイアで見ると,「ピーターの法則」は1969年に南カリフォルニア大教授のローレンス・J・ピーターにより提唱されたそうだ.1.能力主義の階層社会に於いて,人間は能力の極限まで出世する.すると有能な平社員も無能な中間管理職になる.2(略)3.その組織の仕事は,まだ出世の余地のある,無能レベルに達していない人間によって遂行される.とある.

大学に当てはめると,研究業績を出していって,研究員→助教→准教授→教授といって,そこからは管理職の世界.となると一挙に無能になる人が出てくる.

実質の研究成果は出世の余地のある若い人達に多くを依存していることは真だ.だいたい研究能力だって,日進月歩の科学の社会で最先端を切れるのはグループ研究はともかく個人ベースでは50を過ぎると極めて困難になってくるだろう.経験は増えるが,体力・気力・頭の冴えは30以降は漸減していくのだから研究は若いうち,というのはそうなのだろう.

で,最初から管理能力を見ながら昇進を判断していくしかないのかも知れない.解決方法として,ウイキペデイアでは計算機によるモデル実験で,最も優秀な者と最も無能な者を交互に昇進させる方法と,無作為に選ばれた者を昇進させる方法が,ピーターの法則の影響から逃れ,組織の効率を最も高くすることができる,とのことだ.

でもそのような方針を何処でも採用してしまったら,全体の生産性はかなり落ちるようにも思える.なかなか人間の社会は難しい.大学等で,研究論文を出せなくなった人が組織を管理をするとどうしても人事基準が甘くなり組織全体の活力は失われるだろう.良識が問われる問題である.