石のひとりごと

停年退職してもう12年,頭が白くなりました.

2009-01-01から1年間の記事一覧

個人的動機

昨日のプロフェッショナル、仕事の流儀で取り上げられていた細野秀雄さんは、材料科学の分野でヒットを飛ばし続けているようだが、研究の動機は意外と素朴で個人的なものだった。年間60本の論文を量産するのだからそのチームを率いる細野さんは拠点を作るボ…

惜別

朝日新聞の夕刊に週一で載る「惜別」を長いこと愛読している。以前、カミさんから、新聞で一番熱心に読んでるね、と揶揄されたことがあったが、読んで胸にグッとくる時がある。書き手の腕にもよるが、最近亡くなった人の一生が一枚の写真と800字程度に凝縮さ…

SPYSEE

ある人の検索を掛けたら、SPYSEEというサイトに行き当たった。まだ試用段階らしいが、Webでの人間関係を一定の手法で分析して図示して見せるもので、最も関係の深い人8名が直接出てくる。またKeywordも出てくる。ついつい次から次へクリックをして見ると、あ…

荒野を切り拓く

たまたま京都大学理学研究科のHPを見たら吉川科長の言葉が載っていた.先端の研究者には2種類あって,流行の先端でしのぎを削るタイプと,独自に荒野を切り拓く研究をするタイプがあり,京都大理では後者を指向する学生を歓迎すると書いてあった.さすがに…

ピーク年齢

ひょんなことで、サイモン・シンの「フェルマーの最終定理」(新潮文庫)を読んだら、鍵となるステップとして谷山=志村予想というのがあり、ワイルズが最終的に41歳で証明したことが面白く描かれていた。で、気になって志村五郎の「記憶の切絵図」というのを…

助走期間

院の授業で学生にテーマを聞くと,一部の分野では修士は最初は基礎(教科書)の勉強で,具体的なテーマはでないとのこと.そういえば,物理のような基礎分野は卒論はなかった,と納得.どこで個別の課題に取り組むかは微妙なところがありそうだが,総じて基…

国立大学法人,中期目標達成状況評価

新聞に国立大学法人の中期目標達成状況評価一覧が掲載されていた.教育,研究,業務運営,財務内容の4項目について,非常に優れている,優れている,良好である,おおむね良好である,不十分である,の4段階で評価がおこなわれている.4項目とも優れている…

論文を作る手順

論文を書くときに,一気に書くことを旨としている人と,目次を詳細に作成して各コンポーネントを書いて繋いで作成する人と,2タイプあるようだ.A先生は,後者のように書くよう助言して下さったことがあるが,こうやって書くと時間に比例して着実に書けるの…

適切な批判と新しい視点

法人化される前後から外部評価がよく行われるようになっている.以前からTITのEP専攻の黒表紙の年報には外部評価や学生による授業評価が出ていて率直な批判・感嘆が書かれていて健全性を感じ刺激を受けていた.あの専攻の高い研究レベルについての自信と謙虚…

研究でオリジナルなのは何歳頃?-2

2007年まではISIの古いデータが使えたので,その当時とったデータである著名な先生の第一著者のデータを使って上のような図を作成した.各年度に第一著者として印刷された論文の1年当たりの平均引用数の合計が縦軸にとってある.つまり,44歳の年に3本論文を…

研究でオリジナルなのは何歳頃?

昔は大学院を出て27・28歳で助手になり,35-38歳で助教授,40-50歳で教授になるのが日本では普通の教員の履歴だったと思う.定年は60-65だったが最近65に収斂しつつある.助教授になるにはある程度顕著な(オリジナルな)業績が挙がっている必要があるだろう…

Nature:国別論文当たり引用度

前回の続き.1論文当たりの平均引用度で,2009年3月までの総計なので,新しい年度の論文ほど低くなる.目につくのは,米国と比べて英国は低いこと.Article,Letter以外の記事が多いせいか,あるいはやや基準が甘いのか判らない.それと比べると日本,中国や…

Nature:国別論文数

最近,なんとなく中国からの論文をよく見るように思い,Natureの国別の論文数を調べたら,確かに増加してはいるが,まだまだ人口の割には少ないことが分かる.ただ,これは国際共同研究は著者の国数だけ重複して数えている.また,横軸は2年の合計数(1996+…

科学の景色

有馬朗人さんが、超一流でなければ科学者は社会一般について口をはさむべきでない、ということを書いておられるのを成程と思ったことがある。科学の山の低い頂や麓から見る景色と、高い山頂に立って見る景色では全然違うだろうと思うし、身近にもレベルが高…

実験のセンス,科学のセンス

自分は学生の時に同じ実験を10名余りのクラスでやるとたいてい一番下手で,最期まで時間がかかってうまくいかないことが多かった.40年近くこの自覚をもってそれなりにやってきたが,教員になって学生と付き合うようになると,世の中にはもっと実験センスの…

東大vs京大

竹内洋の「学問の下流化」に京大vs東大という章があり、「東大の栄光と苦渋がバッシングされることにあるときに、京大の栄光と苦渋はバッシングされないことにある」とあり、成程そういうものか、と思った。言い換えると、「苦労するおぼっちゃま長男と苦労…

小心にして粗暴 vs 大胆にして繊細

結婚してしばらくした頃カミさんに、「会社の先輩に、『大胆にして繊細たれ、小心と粗暴に勝利はない』、って言われたけど貴方はどっちかというと後者だね」と言われた。25年以上経ってみると結果はそのとおりだ。大きな構想を持ってやりたくても手順を読む…

humbleな気持

30台後半に大学を移動した頃、たまたま読んだ米国の学会の若手の受賞講演の記事で、「これからもhumbleな気持で研究を続けたい云々」というのがあって印象に残っている。その後も注意していると結構欧米人はhumble(みじめな、卑しい)という言葉を、ある意…

学生数と教員数

以前にHPデータからのプロットについて、国立大学法人でも旧帝大と新制大学で学生数/教員数比の違いがあることを示した*が、週刊東洋経済2008年10月18日号に「大学四季報」のデータがあったのでプロットしてみた。これだと新制大学でも比が低い大学があるが…