石のひとりごと

停年退職してもう12年,頭が白くなりました.

「聊斎志異」の受け止め方

蒲松齢の「聊斎志異」は昔ながめた時は、荒唐無稽な作品だと思っていたが、自分に身近な人が亡くなって夏の夜に読むと非常に自然に入っていけたのに驚いた。生きている状態と亡くなった状態の境界というのがそれまで思っていたような不連続なものではなく、連続的な感覚がある。物理的には不連続なのだけれども…

大半は幽鬼や狐等と現実の人との関わりを描いたもので、文庫本で平均10頁程度の話が多彩に描かれている。私は岩波文庫の立間祥介編訳で読んだのだが、上下2巻で92話が収められている。本物は491話があるとのこと。

いずれの話も、最初に男の主人公の紹介が簡潔に書かれていて、それから様々な事件や人間関係、特に男女関係が描かれているが、幽鬼や狐が普通の人間と同じように行動して子供ができたり、いったん亡くなった人が生き返ったりする。まあ、物理的に可逆に書かれている処はお話ではあるのだが、感覚的にはあまり抵抗がない。現在の自分が変な感覚の状態なのか、それとも一生続くものか、もう少し見る必要がある。